世界の綻び


密会の朝。

ボクの世界は壊れ始める。

家を出て駅へと向かう僅かな間、理恵宛にメールを送るその時からだ。

壊れると言っても、ネット上で作り上げたボクの世界は嘘だらけなのだが。

公開しているはずのボクの素顔は全くのデタラメで、日々愚痴るうちの奴の存在どころか、溺愛していると呟く娘やゲームに明け暮れるばかりの息子などは、一度も結婚などしていないボクにはあるはずもないものだ。

ネットの褪めた世界で、あちこちに書き散らすボクの言葉は、多くの嘘と虚構にまみれた独り者の暇つぶしにしか過ぎないのだ。

そんな非日常がそんな嘘日常が理恵との密会ごとに崩れゆく。

適当にごまかして生きるボクではなく、密会の意味合いは平凡な主婦である理恵が使うべきの言葉なのかもしれないのだが。

崩れ始めるのは、ボクが作り上げたネット上の僕のことなのだ。

感情的でサディストと云う一面をもっているはずの僕とゆう存在が、平凡な主婦のはずの地味な女である理恵の魔性の魅力によって崩されてゆくのだ。

そう、マゾヒストとゆう甘美なハラワタを内に詰めている、理恵とゆう女性(にょしょう)のおかげで。
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