Category: 記憶  1/1

記憶 1  (暇つぶしにもならないたわごと)

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記憶、そう言ってしまうのは、それが思い出とか経験と呼んでしまうには余りにもアレだからだろう。遠い当時の思いや印象とは違ってしまっているだろうその事柄を、思い出すには心苦しく経験と云うほど有難いものではないらしい。そもそも体験などとゆうほど特別なものでもなく、それでもそのとある男のつまらない話は、聞きかじった僕でさえよくありそうなものだと感じたからだ。そのみすぼらしい初老の男は路地裏でただぼんやりと...

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記憶 2  (暇つぶしにもならないたわごと)

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「そうだにいちゃん。あれもってねえか?丁度きらしちまってよう」唐突に男が問いかけてきた。わざとらしく自らを弄り下卑た目つきで僕を見上げる。「タバコだよタバコ」男が急かすように吐き捨てる。「僕は吸わないので…。ああそうですね、話の謝礼として前金を渡しますからそれでどうでしょうか?」ぶそっていた顔が笑顔にかわる。「話がわかるねえにいちゃん。早くよこしなそれで間に合わせるからよう。心配しなくてもいいぜ逃...

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記憶 3  (暇つぶしにもならないたわごと)

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「あれは確か…俺が小学生の頃だった。親父が急に倒れて病院に担ぎ込まれたのは…」遠い何かを探し出すかのように、男が語る。「何かの事故ですか?」言葉足らずの男の話に僕は問いかけてみた。「高血糖?だったかな後で聞かされた話だとそんなことだったみてえだ。親父は重度の糖尿病になっていたらしいんだ」男の父親の入院は病気らしかった。それにしても自覚症状とかはなかったのだろうか?と僕は疑問に思ったのだが。「親父は危...

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