序章 1 天蓋の一幕  (ファンタジー小説 バイオール)

突如具現化したその姿は、肉体を持たないエレメンタルの目からしても醜悪なものであった。獣毛にも似た細かいトゲだらけの歪に孕んだ身体。矮小な四肢と折れんばかりに細長い首。とってつけたような口だけの顔が、ふざけたようにその首にのっかている。だが、その口は巨大な身体で押しつぶした森の中、逃げ惑うバイオールの一種族である竜の民草を凄惨にも喰らい続け、耳を塞ぎたくなるような奇声の咆哮をあげるばかりであった。「...

 25, 2015   0

序章 1 地上にて 1  (ファンタジー小説 バイオール)

低界に落下し顕在した闇のエレメンタル・ゲノムスは、認識の縮小と自身の存在の希薄さに目眩を感じた。自由と力と不滅の存在であったいわゆるメーカーの時の開放感とは比べる事も出来ない無力感。二つの瞳による視界と認識力の束縛、転移阻害や飛行制限を受ける肉体とゆう殻の脆弱さ。かつての力の半分も持たないその姿は、耐え難い後悔の念を呼ぶばかりであった。しかし、すぐさま低界に直接介入をするには必要なことであった。ク...

 31, 2015   0