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ある ベイグスの事情 1 (SF小説 メトロの住人)

月刊Stella6・7月合併号参加作品帝国において数は力じゃない。いつの時もどこの場所でも力あるもの…そうノーマルの奴らが唱えるところの権力に従うものが力だ。そいつを上手く使いこなす頭があるもの、そいつに逆らうことなく従順に従うもの、そいつそのものが力って奴だ。種族の個体数では群体を除いててっぺんで、連なる仲間の数が多くても所詮俺たちベイグスは、その蔑称にふさわしく底の輩ってわけだ。母星から離れた帝国の中...

 27, 2015   0

ある ベイグスの事情 2 (SF小説 メトロの住人)

ノーマルの奴らがコロニーと呼ぶこのメトロも内っかわのパネルを捲れば、無骨な外殻に覆われている。ノーマルたちが暮らしてるパネルの上の綺麗な世界は、…もっとも此処メトロは雑多な感じだけど、ひと皮捲れば機械ヤロウと俺たち虫が蠢く陰気な世界だ。一番外っかわは、恒星の光を一心に浴びる装甲に覆われていて、その殻と何枚もの羽で集めた光の力で内側の世界の全てを支えている。効率としては、すげー仕組みだけどそれを伝え...

 28, 2015   0

ある ベイグスの事情 3 (SF小説 メトロの住人)

「…またかよ」作業エリアに出向いた俺はため息をついた。早朝早々にトラブルだ。搬入され続けている部品の山が重なり合って通路を塞いでいる。機械ヤロウどもはそれなりにできるんだが、柔軟性がないのがEEだ。搬入された巨大な交換用部品を運んでゆく仕事はできるんだが全体の流れや煩雑時の対処が今ひとつ。これが知恵を持つサイバノイドならトラブルも減るのだろうが、高価なサイバノイドなんて代物はここには皆無で、いるのは...

 01, 2015   0

ある ベイグスの事情 4 (SF小説 メトロの住人)

メイズと呼ばれる此処、内部制御エリアにも抜け道はある。確かに地表?(重力方向をそう呼ぶのなら)部分は迷路のように入り組んじゃあいるが空はスカスカだ。ホワイトの巣窟を支えるコロニー内の巨大パネルは、考えられないほどの莫迦でかい合金製の梁と同じく呆れるほど太い柱で支えられている。地表の迷路からそびえ立つそれは、広大な内部エリアに無限にも続かのように広がっている。混雑した迷路を尻目に俺は、ショートカット...

 03, 2015   0

ある ベイグスの事情 5 (SF小説 メトロの住人)

「ああやって統計値を分析してみると、問題は見えるもんだな」Bエールのジョッキを片手に俺は力説を続ける。此処はタウンと呼ばれる居住エリアの下層地区のバーのひとつだ。「リトランド、君って奴はほんと仕事熱心だよね」呆れ顔のノーマルが俺の演説に対してこう答えた。「うちのところにも君のようなマンティスはいるけど、どちらかといえばプロフェッサーの講義を聴いてるような気がするよ、僕の認識からすれば、君たちはもっ...

 05, 2015   0

ある ベイグスの事情 6 (SF小説 メトロの住人)

ブルーが多く住む下層居住エリアの店を出た俺たちは居住パネルの中層、いわゆるホワイトの連中が呼ぶところの地上へと向かう。ここメトロコロニーは、初期コロニーによく見受けられるような多層の構造で、地上の下に奴らがそう言い捨てるダウンと呼ばれる下層エリアと奴らが蔓延るタウンと称する中層エリアが広がっている。更には中層エリアの上にはそびえ立つ高層ビルが乱立していて、メトロ特有の雑多な雰囲気を醸し出してるのだ...

 09, 2015   0

ある ベイグスの事情 7 (SF小説 メトロの住人)

ボートつまり小型浮遊艇は、帝国における凡庸な移動手段だ。プラネットやリングそしてコローニーにおいてのシチズンの安価な移動手段であり馴染み深い。莫迦でかいプラネットや整然としたリングならともかく、限られた居住区しかないコロニーではロードと呼ぶ運搬網に乗り普通は移動するものだ。円筒状のコロニー筒の内側、底部と頭部をつなぐそれはさながら複雑に絡み合った血管網にも似ているはずなのに…。血管を渡る物質にも似...

 25, 2015   0

ある ベイグスの事情 8 (SF小説 メトロの住人)

「それはそうとリトランド君、今朝のニュースのヘッドをピックしたかね?」「えーっと…市長の声明のことですかね…」「無論そうだとも、彼の心情変化を君はどう捉える?」「まあ、ノーマル主義の市長が手のひらを返したことについては、興味はでましたけど評価はないってとこですかね。あの内容は選挙向けのPRじゃねえかと」俺は何故こんな問答を繰り返してるのだろうと内心で思い続けていた。此処パラダイス特区にあるEEなビルの上...

 31, 2015   0

ある ベイグスの事情 9 (SF小説 メトロの住人)

「時にリトランド君、群体における意識共有と君たちベイグスらの族間共生との違いについての君の見解はどうだね」未だ目の前の優男がかのプロフェッサーと測りかねながらも、次々と問われるIGテストらしきものに答えてゆく。俺の中の幾千もの共生記憶によれば、この男がプロフェッサーなのは間違いないと認識していたのだが。「群体と云うのは、帝国バンクも含めてのことですかね…」「…無論…そうだ」まるで正解を導いた生徒を眺め...

 15, 2015   0

ある ベイグスの事情 10 (SF小説 メトロの住人)

「問題ない!君は既に軍役を逃れ、私自身も違うシステムに存在するからだ。いわゆる治外法権とも言えるこの場所で、そもそも仮定のやりとりなど何も問題ないわけだ」事もなげに言い放つ彼?の言葉に意義を挟むものがいた。「やれやれ、そいつは問題だな…」それは同じ会場の隣のテーブルからのもの、若い女を連れた黒づくめのちゃらちゃらした外見の男の言葉だった。「先ず帝国軍人には終身の秘守義務が幾つか存在する。現状、ハイ...

 08, 2016   0