Category: ファンタジー 魔導人形シリーズ  1/2

オールドファイター 1

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朝は目覚めが悪いものだと首をふる。ここ何ヶ月かは時期的なものもあり、職業柄身体の痛みが取れない。かつての大陸全土を巻き込むかのような騒乱もなりを潜め、平素の仕事はごく在りきたりなものだ。もっともあの頃のような覇気など今はあるはずもなく、この老いたる戦士である俺は息子の独り立ちを見送ることが最後の務めであると思っている。雇われのしがない戦士にしか過ぎない俺は、たった一人残された家族である息子に何ほど...

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オールドファイター 2 (ファンタジー小説 オールドファイター)

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大抵の者がそうだとは思うが、他人の職業などと云うものは実際には理解していないことのほうが多い。つまりそれを生業にしてる家系にでも生まれなければ内容などわからないものだ。かくゆう俺も三代続いた商人の家系の生まれであり親父が病気で早く亡くならなければ、戦士などとゆうものは、魔道士や僧侶などそれぞれの職業のもの数名がパーティーを組み、魔物を倒す冒険者のようなものだとか、王や支配者のために戦争をするとか程...

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オールドファイター 3 (ファンタジー小説 オールドファイター)

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戦士の一日など退屈なものだ、長年やっても楽ではなく、長年やっていればそう無理なことでもなく、ただ年齢の関係で体力的にはきついものがある。そもそも戦闘とは最終的に対象物を物理的攻撃で撃破するものであり、基本的には敵者も魔獣も変わらない。それが害獣であれ例えばドラグーのような伝説的な魔物であれ(年間の個別討伐数からすれば伝説的)相手の攻撃をかわし、足止めにつながる武器でのダメージを叩き込みそれらの繰り...

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オールドファイター 4 (ファンタジー小説 オールドファイター)

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この仕事は通常ギルドで受け付けるものだが、俺の入った戦隊は闇で仕事を請負っている。商人崩れの俺が入った20年ほど前は、うちの戦隊もギルドに入っていたのだが、古参の戦隊の奴らの締めつけで隊長が抜けちまったからだ。安定した依頼が減り、足元を見られ相場より安い請負価格での仕事ばかりとなったが、隊長の昔のツテもありなんとかやってこれた。蛇の道は蛇と云う言葉もあり、ギルド経由での依頼より安上がりな俺たちを使...

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オールドファイター 5 (ファンタジー小説 オールドファイター)

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魔道人形にできることは、基本簡単なものだ。最近は大型で高性能な魔道が使える奴もいろんな工房で出ているのだが、基本は攻撃と防御と補給の三つ、つまり魔道士が使う攻防一体の魔道の土流と、僧侶が使う足止めと混乱の法術の閃光、そして両方が唱える基礎詠唱の回復だ。魔道などに馴染みがないものに説明をするなら、土流は相手の足元の地面を掘り下げその分の土砂を自分の足元に足場として盛り上げる中級の魔道、閃光は言葉通り...

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オールドファイター 6 (ファンタジー小説 オールドファイター)

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「朝っぱらからなんとかならないっすかねえ」そんな文句に俺は仕方なく返事をかえす。「しょうがないだろう、新型の人形は此処にはもってこれないんだから」トラップを担ぎながら俺は答える。文句を言いたいのは俺の方だった。うちの隊にも新型はあるからだ。新型を使えばより遠く広範囲まで魔道による攻撃も可能で何もこんな重く嵩張るトラップを幾つも仕掛ける必要がない。今回のような飛空タイプのガーギーみたいな奴らは、どこ...

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閑話休題 この話にネタは尽きないw (ファンタジー オールドファイターの裏幕)

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< 五十路のガテン系オヤジの 仕事日記 >どんな仕事もそうだとは思うんだけど、ボクのようなポンプ屋(コンクリート圧送業)は、生コンが送れないのが一番まずいことである。請け負った仕事が完了できないと云う事なのだが。今日の仕事は配管による山あいの堰堤(エンテイ=砂防ダム)だったのだが、今日で終わりのはずが最後の最後でコケてしまった。重機(コンクリートポンプ車)が近くまでよれない故、配管(生コンの輸送管...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目

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「おい!ウー、あの木偶人形をなんとかしろ」次々と襲いくるゴブルを切り捨てながら、俺は叫ぶ。「あい、わかったあ」脇を固めていた、はぐれ蛮族であるウーの即答に嫌な予感が浮かびあがった。案の定、鈍い打撃音のあとに辺りが輝き、その場の緊張感すらかき消すような間抜け声があがった。『たいさ~ん』そして俺は今日も、エリア5最深部より連れ戻されることになった。「みんなお帰りい、今日も全員無事だね」脳天気な声をだし...

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魔窟広場 募集の間  ひと月前 1

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俺はランスロット、此処グレイトバースト魔窟でも有名な剣士だ。見殺し…いや、皆殺しのランスと異名を騙る俺は、広大な魔窟のエリア20まで看破している。その俺がよりにもよって、間抜けどもと組んでいるのは、この異名のせいでもあったのだが…。「おい、あれはランスの奴だぜ」「ああ、あの見殺しのランスか」目を閉じたまま俺は聞き流す。煩いだけの初心者の雀どもには用などない。ここ、魔窟広場の募集の間で長いこと座ってい...

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魔窟広場 募集の間  ひと月前 2

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あまりにも長いあいだ待ち続けていた俺は立ち上がる。話しだけでも聞こうと思ったからだ。あまりにも有名な風貌と異名は、俺をこの募集の間の展示物と化す可能性が高かったからでもある。意を決して立ち上がり、大柄なそいつの前に俺は向かった。「俺は、ランスロット流離いの最凶の魔剣士だ」『…』「探索の仲間を探してるようだが、条件とか報酬を教えてもらいたい」『…』返事がない…。そいつは腕を組んだまま微動だにしなかった…...

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魔窟広場 募集の間  ひと月前 3

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背を向けた方がざわつきだした。「おい見ろよ、背中の長剣。例の最凶だぞ!」「ああ、まちがいないな、あの束ねた赤髪、ランスロットだ」ざわつきが増してゆく。それを耳にして、感心したように幼女が言った。「最強の剣士どのは、なかなか有名なのじゃな、これでチームも安泰じゃ」「なんだあいつ、今度は幼女か。あんな小さな子まで毒牙にかけるつもりか?」「なんだなんだ、なんの騒ぎだ?」「最凶だよ、最凶。最凶が幼女までも...

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魔窟広場 登録所

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先にたって歩き出した少女の後を歩く格好で俺は通路をいくつも巡る。背後ではあの馴染めない声がとんちんかんな挨拶を交わし続けているようだ。なるべくそいつを気にしないように努めながらついてゆくと、たどり着いたのは馴染みの登録所であった。「新しいチームメンバーを登録ですじゃ」とことこと駆け出した少女が、受付のカウンターに精一杯背伸びして告げる。どうやら頭さえ上に出ないらしく気づかれてないようだった。後ろか...

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旅立ちの朝 1 (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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「…そうしてカミサマは、敬虔なる聖者の願いを聞き届けられ、かくして世界に蔓延っていた邪悪なる人と云うものを片隅に追いやり、純粋に生きるだけの魔物を世界の覇者として据えられました」…これは母の声のような気がする「えーっ、そんなのずるいよ、だって聖者様は争いのない世界を願ったのでしょ?」…こっちは妹のリアだそうだこの時から思ったんだボクは。そんな不公平なカミなど滅ぼしてしまえばいいのだと。世界を我が物顔...

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旅立ちの朝 2 (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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七年間せわになったグレミア工房のあるネオフロンティアは大陸の南、平原地帯が広がるロストにある都市国家の一つだ。各種の魔具の工房が多く大陸中に点在する居住可能な都市へ多くの魔具を搬出している。東は辺境の島国パンジャから西の大国クロスキングダムまで、人が住む都市や国家の全てを相手にしている。創世の時代に大陸の覇者から追い落とされた人類は、大陸全土の大半を占める山岳地帯や森林からの魔物に怯えながらも勇気...

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旅立ちの朝 3 (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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「さてリア、マルスさんには悪いけど紹介先のフィフラス公国へ向かう前に、姫のところに寄ってくことにするから」『イエス、マスター、マスターの思うがままに』マルスさんは工房での大先輩であり、盟友でもあるデュロスにも引き合わせてくれた顔の広い人物だ。歳の割には気さくで職人気質でもあるが、素人のボクにとても良くしてくれた。工房での作業の役に立つからと言われ偏屈な若き天才人形師であるデュロスの奴のもとにボクを...

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追憶 1  (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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今では盟友のデュロスの住んでいる場所は、聞いた通りのねぐらと呼ぶのにふさわしい場所だった。倉庫とも言える大きな建物の場所で降りたったボクたちは(正確に言えばボクだけであったが…)その工房にも匹敵するほどの大きさの建物をぽかんとしたまま見上げるだけだった。マルスさんといえばそんなものは見慣れているとゆうふうに、扉に書かれた立ち入り禁止の文字など目にもせず、ボクを置いてきぼりにしながらも中にと入ってゆ...

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追憶 2  (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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取り残されたボクはデュロスと呼ばれた若者に付いてゆき、そのねぐらとも言える建物の奥に案内された。工房と同じく様々な道具が雑多に置かれ多くの魔具が乱雑に積み上げられた倉庫のような広場の片隅にそれはあった。「ああー、呼びやすくベイルでいいかな?、俺はイニシャルのディ(D)でいいから」その言葉に、よく工房であがるディとゆう言葉や部品に刻まれたDとゆう文字が、目の前の若い男だと云うことにボクは思い立った。「...

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旅の始め 1  (ファンタジー 凍てつく人形   魔道人形シリーズ)

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そうして始まった新しい日々は、実り多いものであった。工房での仕事の合間、幾度の試行錯誤を繰り返した上で五年の月日を費やし魔道人形の試作品をボクたちは作り出したのだ。工房に持込み調整を進めた結果それは、新たな人型魔具として採用され工房の名を大いに高めることとなった。魔核の件も例の学園での友人にそれを無償で渡すことによって確保することができ、工房としても多くの魔導人形を作り出すことになり、その成果と貢...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目 そのあと

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埃まみれの装備を部屋に放り込んだあと、浴場に足を向ける。半端な時間なのか、流れる水に身を任してるものは余りいなかった。水をかぶり思いを巡らす。いくら考えても何度も練り直しても、次のエリアに佇む俺のイメージは浮かばない。「手駒だよな…」思わず口をついた言葉は、閑散とした浴場にやけに響くばかりだった。頭以外の身体ばかり冷やし、諦め加減でググの部屋にと向かう。明日は探索はやめてみようなどと、申し出を考え...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目 そのあと 2

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声の主は随分若い男だった。見てくれは地味で、まあ、そんなことは俺には関係ない。そんなことよりも、見れば見るほどいい女だ。好みから言えば発育がこれからとゆうことぐらいだ。引き締まった身体、鋭く光る瞳、これで、胸が…。是非にお近づきになりたいものだ。取り敢えず俺は、話しかけることにした。「お嬢さん、見たところ戦士のようだけど…」「あなたもググのお知り合いですか?」若造が話しかけてきやがった。間の悪い奴だ...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目 そのあと 3

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扉が開いた。「ああっ、ベイルなのだ!久しぶりじゃの」戻ってきたググの奴が、若造をみるなり叫んだ。『ベイル様 久しぶりであります』「やあ、姫、グレム、お邪魔してたよ。やっと旅を始めることにしたから約束を果たしに来たんだ」「そうじゃ、グレムの仲間を紹介するのじゃ、うちのチームのエース、魔法剣士のランスロットじゃ。このグレイトバースト魔窟でうちのチームをあれよあれよと云う間にエリア5まで導いてくれた御仁...

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それぞれの始まり 1

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静寂なる時の支配する中 まどろみを揺るがす声を我は耳にする永劫の眠りを妨げるものそれは 遠い遠い記憶の底で燻っていた高揚をいざなう光明にも似ていた気がした再び静寂を取り戻したものの それは均衡に別れを告げる再来とも取れるのを我は安らぎの中で感じていたのかもしれなかったのだがこの冬はいい冬なのだと感じる傍らで蠢く子らも腹を空かして特に騒ぐこともなく  それを黙らせる乳の張り具合も途絶えることのない獲...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目 そのあと 4

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このあとググの奴に魔窟探査の休息を宣言し、俺は部屋に戻ることにした。ググの奴とは違って寝床一つのありふれた部屋に。疲れているはずなのに目が冴えて眠れやしない。ごろごろと天井を見上げながら、魔窟探索の行き止まりに俺が悩んでいると、扉を叩く音がする。「ランスロットさん、お邪魔してもいいですか」「鍵なんかかかっちゃいねえよ」俺は寝転がったまま天井を見つめ返事を返す。「失礼します、…あっすいませんお休みだ...

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魔窟 エリア5 最深部  三日目 そのあと 5

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誰もが知っているように魔石とは文字通り、魔獣が身体に一つは持っている石のことだ。俺でさえも一度見かけただけの眠れる畏敬の魔獣ドラグーも、其の辺の木々の枝でさざめいてる無害なフライブも、魔窟の深淵に撓み淀む異形のスタールでさえ、この小指ほどの水晶にも似た輝玉を内に宿してる。獣と魔獣を区別するこの輝玉、魔道士が呼ぶところの魔石は、かの神話が指し示すように人々に害なすものとして魔獣を忘れることなく刻み込...

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魔窟手前 平原 1

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翌朝俺たちは、魔窟がある岩山の手前の草原にと繰り出した。例の女人形とベイルの他に、何故かググの奴とグレムがついてきやがった。「じゃあ、ググ頼むよ」ベイルが手にした袋をググに手渡す。ググの奴が渡された袋の中身を地に開けるのを眺めてると、それは魔石の山だった。「御身の名を借りて我は願いたり、宿りし者よ浮かびし者よ育むものよ導くものよ、我の願いを叶えたまえ…」ググの奴が詠唱を唱え始めた。賢者ともなると面...

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剣の道(邪な望みへの道程) 1

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「経験豊富なランスさんなら知ってると思いますが、操術系の魔道の術式を裏返したものです。魔道で相手を意のままに動かすと云うものを、相手の動きを魔道で感知して記録し真似るそんな感じです」ベイルの答えはあっさりとしたものだったが、そんな魔道、術式など聞いたこともなかった俺は言葉が出なかった。「………剣士にとって型は基本だけどよ、何よりもその心構えも必要だ…」「と、言いますと」「いくら型を正確に真似ようと、そ...

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剣の道(邪な望みへの道程) 2

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それからは暫く女人形に型や剣士としての所作を教える日々が続いた。リアのやつは俺の手本俺の言葉をよく理解し物覚えも良い。例の草原での稽古の後、汗を流し自室でくつろいでる俺に、ベイルがリアを連れてやってくる。トレースの術式についての具合や、いかにうまく剣技とゆうものを魔道になぞらえるかなどを相談するために。そんな日々を過ごしている内に、俺は腹を決めることにした。「しかしなんだな、リアの奴はどうみても人...

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剣の道(邪な望みへの道程) 3

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「ベイル、ほんとにそれでいいのか?お前もリアのやつも」翌日ベイルたちをパーティに登録するためググと一緒に来ていた俺は、そう声をかけた。「えっ?ああ、職業レベルの登録の話ですね。それだったら師匠も奥義を極めていながら中級の魔法戦士ではないですか、ボクは一般的に中級魔道士なのは仕方ないですしリアも初級戦士は当然のことです。二人共素人ですからね」「そうは言ってもリアは俺がみたてたところ剣士としても中級ク...

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ベイルとベイル 1

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「グランド様、いい加減にしてくれませんか?」揺れる馬車の中、はしゃいだようにあちこち見回す向かいの少年が不意に声を上げる。少年とは言っても人ではなく人形で、グレムかドリムのどちらかなのだろうが。主格である魔核が決まっているものが一般的にグレム(魔道人形)と呼ばれるものだが、横に座らされているドリムたちにしても主格のない今の状態ならともかく、主格の魔核を入れて変化(へんげ)の術式を発動されてしまえば...

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ベイルとベイル 2

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目の前の少年は、よくわからない存在だ。ギルドでの諮問を免れたのもある意味彼のおかげであるし、そのあと連れてゆかれたギルドの最高顧問と呼ばれる人物の部屋にても、待ち受けていたのはこの少年だった。もっとも最高顧問と呼ばれる人物が、身体を持たない魔核のようなものであったのだから、身体となるものの姿をしていた彼が代わりにでむかえるしかなかったのだろう。しかし、グランドの名を持って紹介されたそれが、私の思念...

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