ベイルとベイル 1

「グランド様、いい加減にしてくれませんか?」揺れる馬車の中、はしゃいだようにあちこち見回す向かいの少年が不意に声を上げる。少年とは言っても人ではなく人形で、グレムかドリムのどちらかなのだろうが。主格である魔核が決まっているものが一般的にグレム(魔道人形)と呼ばれるものだが、横に座らされているドリムたちにしても主格のない今の状態ならともかく、主格の魔核を入れて変化(へんげ)の術式を発動されてしまえば...

 17, 2014   2
Category  荒ぶる人形

ベイルとベイル 2

目の前の少年は、よくわからない存在だ。ギルドでの諮問を免れたのもある意味彼のおかげであるし、そのあと連れてゆかれたギルドの最高顧問と呼ばれる人物の部屋にても、待ち受けていたのはこの少年だった。もっとも最高顧問と呼ばれる人物が、身体を持たない魔核のようなものであったのだから、身体となるものの姿をしていた彼が代わりにでむかえるしかなかったのだろう。しかし、グランドの名を持って紹介されたそれが、私の思念...

 19, 2014   0
Category  荒ぶる人形

ベイルとベイル 3

いつのまにと私は思ったが、諮問での命により旅立つことになった今朝の出来事を思い出した。「君に逃亡の意思などはないとは思うけど念の為にスキャンをかけてもいいかな?」そう、ベイルが言ったことを。特にその気もなく装備や持ち物もありふれていた物であった私は意義を唱えることもしなかった。移動の為に用意したドリムである馬たちや馬車についての申し出ならばそれなりに断ったのかもしれないが。目の前の私が私にスキャン...

 21, 2014   0
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ミリムとベイル 1

「取り敢えずここに致しましょう」街につき、そう多くない住居を見渡して宿の前でベイルが言った。「ここの他に宿なんてないみたいね」ベイルとミリムが云うとうり、宿らしきものはこのちいさな街ので他に見当たらなかった。ギルドからの、いやグランドからの要望の案件の最初の場所は、この先の村らしいのだがそこには宿すらなく、多分、彼なら宿代わりに使えるであろうギルドの支部もないらしい。「人が揃うまで腹ごしらえでもし...

 21, 2014   2
Category  荒ぶる人形