認識  (小説 魚人の街)

「………」魚人の男が近づいて、ボクに何か話しかけてくる。あいかわらずその言葉は、吐き出されるごぼごぼとした泡でよく聞き取れない。泡は男の顔を覆うほど無数に吐き出され、その表情も読み取れない。そんな調子で、彼が男だとよくわかるなと云うキミの疑問には、その姿がいかついたものであり、高圧的な物腰だからだと答えておこう。だいいち彼女が女ならば、たいがいは見向きもせずに歩き去るか、立ち止まっったとしても話しか...

 29, 2014   0
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安著  (小説 魚人の街)

魚人の男が時計らしきものを指差して更に話しかけてくる。どうやらこんな時間にボクのような少年がこんな場所に居る事について訪ねているようだ。それも怒りを交えて激しくね。溢れ出す泡が半端ない事からそう思っただけだけど。前のときのように面倒なことになるのは嫌だから直ぐに戻りますとそれだけ言い残しこの場を去ることにした。それが魚人に正しく伝わったかはわからないけど。この街ではボクの言葉はうまく伝わらない。せ...

 31, 2014   0
Category  魚人の街

漂着  (小説 魚人の街)

カ  クのような部屋から出ると、いつも食べ物を運んできてくれる魚人の姿は見当たらなかった。ふと  モノにでも出ているのだろうかとそんな考えがよぎったが、そんな思いは泡のように消え去ってゆく。何もかもが虚ろでぼんやりとした世界それが此処、魚人の街だ。立ち並ぶ見覚えのあるような岩肌を通り抜け歩き続けるボク。割と明るいこんな時間のこの街は魚人の姿も疎らで、ひたすら泳ぎ去るばかりの巨大な魚もあまり見かけな...

 17, 2016   0
Category  魚人の街