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「………」

魚人の男が近づいて、ボクに何か話しかけてくる。

あいかわらずその言葉は、吐き出されるごぼごぼとした泡でよく聞き取れない。

泡は男の顔を覆うほど無数に吐き出され、その表情も読み取れない。

そんな調子で、彼が男だとよくわかるなと云うキミの疑問には、その姿がいかついたものであり、高圧的な物腰だからだと答えておこう。

だいいち彼女が女ならば、たいがいは見向きもせずに歩き去るか、立ち止まっったとしても話しかけたりはしないからだ。

質問好きなキミに更に付け足せば、魚人は歩くもの?と言った疑問については、この世界、いつのまにか迷い込んでしまうこの世界は水に水没しており、(先程の言葉が泡となってしまうことによる現象から、ボク自身の言葉さえもうまく伝わらないことからの判断だ)便宜上、魚人と称してるのだけど。


あと、水に埋もれているのにボク自身の呼吸はどうしてるの?との事なら考えたくもない。

この街に彷徨い込み始めた頃に、最初に浮かんだそれは途端に息苦しいものへと変わったからだ。

キミもよく考えてみるがいい。

呼吸をちゃんとしないと息ができないなんて考え始めたら、余計にいきぐるしくなってしまうだろう、それと同じだ。

だから、そんな理不尽な思いなど考えないようにして、ボクは今日も揺らめくばかりの、この魚人の街にぼんやりと存在だけしてることを認識してるのだ。




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魚人の男が時計らしきものを指差して更に話しかけてくる。

どうやらこんな時間にボクのような少年がこんな場所に居る事について訪ねているようだ。

それも怒りを交えて激しくね。

溢れ出す泡が半端ない事からそう思っただけだけど。

前のときのように面倒なことになるのは嫌だから直ぐに戻りますとそれだけ言い残しこの場を去ることにした。

それが魚人に正しく伝わったかはわからないけど。

この街ではボクの言葉はうまく伝わらない。

せっかく自分の世界?を離れ、何処かに通わなくても良くなって何かをやらされることからも解放されてるとゆうのに。

そのことを語ったとしても魚人たちは理解もしてくれない。

熱心に説くボクの言葉など理解できないからだ。

キミみたいに辛抱強く話を聞いてくれるわけじゃなけど、何処かの大勢の人たちみたいに白い目で見るわけじゃないけから、あの世界よりはマシなんだけど。

そんな理由からボクは、この何も求められない魚人の街に訪れていることに安著してるのさ今日も。





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カ  クのような部屋から出ると、いつも食べ物を運んできてくれる魚人の姿は見当たらなかった。

ふと  モノにでも出ているのだろうかとそんな考えがよぎったが、そんな思いは泡のように消え去ってゆく。

何もかもが虚ろでぼんやりとした世界それが此処、魚人の街だ。


立ち並ぶ見覚えのあるような岩肌を通り抜け歩き続けるボク。

割と明るいこんな時間のこの街は魚人の姿も疎らで、ひたすら泳ぎ去るばかりの巨大な魚もあまり見かけない。

そんな周りをぼんやりと眺めながらボクは今日もお気に入りの場所へと向かう。

やたらと鬱陶しいあの群青なる魚人や何かと騒がしい幾つもの華やかな魚人を避けながらボクは歩いてゆく。

岩波を通り過ぎ小高い場所がボクの目的地だ。


そこまでたどり着けば、ボクを悩ます  も  ウも何処にでもいる魚人の姿でさえもみることはない。

薄ぼんやりとした  の下、眼下には  ツブのような巨大魚の群れが流れゆく。

間近にあれば恐ろしく騒がしい巨大魚の群れではあるが、こうしてその姿を見下ろすぶんには、何故か心が安らぐ感じがする。

それはまるで  のようであるからか。


そんな曖昧な思いと  いな気持ちにボクは漂い始める。

そう、この街で。魚人の街で漂うボクは、この街に流れ着いた  クサなのかもしれない。









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