ナリア&ズッカ (小説 サッキュバスの惑星)

「ズッカ!本日も良き働きをしましたね。後ほど褒美をとらせます。もうさがりなさい」琥珀色に包まれた宮殿内の広々とした中庭を見下ろすバルコニーの上、透きとおる声が響く。声の持ち主はうら若い女性だ。見下ろす事もせず凛としたひと言だけを放ち、身につけた肌が透けるほどの下着かとも思えるドレスを翻し颯爽と中へと消えてゆく。中庭ではその姿があったであろう位置をじっと眺め続ける人影があった。ズッカと呼ばれた人影は...

 28, 2014   2

リリス&アダム (小説 サッキュバスの惑星)

『アダム、探査宙域の分類を始めるわ』「了解だよ、リリス」少年とも言えるほどの色白な若者がライブスクリーンに返答をした。ザ・バンク直属の巨大探査艇スレイブリー号のブリッジに佇む若者は、メインAIでもあるリリスはもとより、この巨大な船自体をも独りで支配している。ネオバイオロイドでもありシーカーでもある、彼の能力所以なのだが。『この辺りの宙域は、帝国の手から外れて文化の退行した系も多いから、サンプリングも...

 28, 2014   2

アダム&Bボックス (小説 サッキュバスの惑星)

『完了よ、これでこの初心なコは嬲り放題だわ』AIであるリリスが目標の星を点滅させアダムに報告した。「先ずはスパイラルを解いて周回軌道上に転移、それからボクはBボックスシステムのミニカーゴで探索に向かうよ」報告などなくとも解ってるといった顔つきでアダムと呼ばれた少年は指示を出す。渦巻き状に描かれていた光の筋が、それぞれの恒星にと戻り始める。すっかりと落ち着いた星々が、またもとのように星座を描き始めると...

 10, 2014   2

Bボックス&侵入 (小説 サッキュバスの惑星)

「おいおい、ノーマルビューには木々しか見えないぞ、リリス」アダムが母船に文句を言った。 『どのセンサも熱を持った移動物を複数感知してるわアダム でも此処からじゃ地表なのかどうかわからないけど』「 … 」 AIからの返信の直後、自動的にボディのアクティブが解除されたアダムはブラックアウトした。木々をなぎ倒し崩壊を始めたミニカーゴからアダムのボディは投げ出され、糸の切れた人形の如くあちこちぶつかりながらよ...

 15, 2014   0

生命体&アダム (小説 サッキュバスの惑星)

「どうやら生命体の住処のようだな、データをスキャンして送るから解析してみてくれ」稼働物がないことを確認して少し広めの中の様子を見回す。「文明の程度は退化の兆候が見られるけど、知的生命体の人工物だと判断できるわね、天然の洞穴に手を加え住処としてるみたい」データを送信したリリスからの回答が直ぐに帰ってくる。「サンプルになる生命体は近くにはいないの?」「ああ、ここからだと…。ん?僅かにセンサに引っかかる...

 25, 2015   1