Category: よろず何でも相談社  1/1

体内虫 2 (小説 よろず何でも相談社)

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今朝は年明けの仕事始めとあっていつもより早めに出勤したのだが、早朝にもかかわらず會社である雑居ビルデングの室の扉には、相談のお客であろうか一人の男が待ち構えていた。慌てて鍵を開け部屋の片隅に設けてある待合の席へと案内をし取り敢えず茶を差し上げて、しばらく待てば相談を受ける者が参るとだけ告げ、休みの間に溜まっていた新聞や手紙の類を整理し始めることにした。整理のあと簡単に掃除をしようと思いつき廊下に出...

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体内虫 3 (小説 よろず何でも相談社)

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手洗いから出て口をゆすいで戻った時には、もう次の依頼者が話を始めていた。今度はどうやらご婦人のようだった。「…で、奥さん、相談したいことは結局なんなのかね?そのような行いに日々依存してしまう自身についてなのか、それとも幅広くお相手を見つけることなのか…」流石に女性だからだろうか、伊之助の言葉もいつになく丁寧に見受けられた。それにしても色々と難しそうな話のようだ。「お恥ずかしい話なのですが、後者のほう...

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体内虫 4 (小説 よろず何でも相談社)

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「沢田君、きみ、話を聞いておるのかね?」社長である伊之助の言葉に私は我に返った。「あの最初の男に専門意見を聞かせるために、手苦君の処に連絡を入れたまえ」「………はい」「早急にだよ」「!はい、ただいま」訝しげな表情が顔に出てしまったのだろうか、伊之助の声がひときわ大きくなった。思わず顔に出たのは、伊之助の帝大時代の学友と称するあの如何わしい男が、私はどうしても好きになれなかったからである。ジロジロと舐...

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体内虫 5 (小説 よろず何でも相談社)

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「さあ早く、沢田くんもこれを見てみたまえ」伊之助の言葉に仕方なしに目を向ける。二人が向かい合って座っている社長室の卓の上に、先ほどの包の中身らしき透明な瓶が置かれていた。中には何か薄い肌色をした小さな物がもぞもぞと動いている。そうそれはちょうどその色といい形といい、赤ん坊の手のようなものが蠢いていたのだった。不気味なそれは、どことなく青白く生気のない感じがした。「どうかなぁ?可愛いだろうぅ?こんな...

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女王星 1 (小説 よろず何でも相談社)

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月末にしては珍しく休暇となった今朝、私は銀座のカフェーに来ていた。女学校時代の友人に会うためである。あの頃は共に職業婦人などを夢見て将来を語り合っていたのだが。店の片隅の席に座りコーヒーを頼む。「どうぞ…」殿方目当てなのだろうか、巷で噂のカフェーの女給はそっけない感じだった。「お待たせえ」「ひさしぶりだわね」懐かしい声が店の中に響く。物珍しい女性客の更なる来店に店の中が少しざわついている。そんな雰...

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体内虫 1 (改訂版 小説 よろず何でも相談社)

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「沢田君、先ほどまでの申し出をどう君は思ったかね」社長の不意の問いかけに、またもや私は言葉につまり答えられなかった。「確かに新年早々訪れた相談者の依頼は二人共に奇妙奇天烈なもので、それぞれ本人も其の依頼内容も異なるものではあったが、彼らには興味深いことに或る共通する鍵がある、其れが何か君にはわかったかね」 おそらく油で固めているのであろう跳ね上がった口髭を撫でながら、ん?といった顔付きで更に難題を...

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