大人に (私小説 蒼き日々の情景)

「あっ、…カズちゃんって…いつも何も喋らないわね、ああっ」喘ぎ声の合間にえーこの問い掛けが混ざる。「………」聞こえなかったように無言のまま和也はコトをすませた。えーこの身体から身体を離し備え付けの粗末なベッドに腰掛けて辺りをみまわしていると、真っ赤なツメがタバコを差し出してくれた。「マルボロだったよね?」「ああ」今度は素直に答えながら、同じく差し出されたライターで火をつけた。白い煙が狭い部屋に沈黙をと...

 16, 2014   0

休日  (私小説 蒼き日々の情景)

翌日、喉の渇きとともに起きだした和也は、軽くシャワーを浴びてファミレスに向かっていく。店の営業日は寮の食事が出るのだが、休日は管理人の都合で食事はない。寮に住む独身社員は、それなりに割増された月の給料で自炊や外食で休みの食事をまかなうことになっていた。寮費もそれに合わせて割引との事だが、和也は計算などする気も面倒で計算もしたことがなかった。朝の弱い和也はとりとめのない思いを浮かべ、ぼんやりとしたま...

 16, 2014   0

指名  (私小説 蒼き日々の情景)

「確か今日は、公休じゃなかったよな」店に向かうタクシーの中、和也はひとりつぶやいた。指名の利く店ではあったが、いつも何か名前をゆうのをためらって指名をつげることがなかった。ただ、待つ事や他の姉妹店に回されるのがいやで、和也は予約だけ入れてタクシーに乗り込むことにしていた。三十分ほどゆられると、なじみの入口にとたどりつく。入り口で予約の名を告げ、狭い待合でまっていると人の来る気配がした。「いけだ様、...

 16, 2014   0

キス (私小説 蒼き日々の情景)

和也には、帰るべき場所があった。生まれついたときから敷かれているレールがあるのだ。今の会社にいるのもいずれそのレールを走るためのものであり、若い和也にはそれが我慢できないでいた。自分の将来が自分で決められない、そんな和也の思いは会社の仕事に対して、いまひとつ真剣みにかける形で現れていた。将来に不安を抱いてるその他大勢の若者からすればそれは贅沢な悩みなのだろうが、和也の若さはそれを納得できないでいた...

 02, 2014   0

天使の望み (私小説 蒼き日々の情景)

「んっ」和也は乳首を吸われ舐められる快感に思わず息を漏らした。「相変わらず、つまらない反応ね」ちょっとすねた顔でえーこが見上げる。「そんなことないさ、とても気持ちいいよ。お返しをしてあげるから」和也は寝そべっていた身体を起こし、えーこに抱きつきキスをしてやわらかい頂に吸い付いた。「あっ駄目。そんないに強いとちょっと痛いわ」痛みが伴う快感に陥り始めたえーこが和也を覗き見ると、そこには意地悪そうな表情...

 12, 2014   0