Category: 輝石物語  1/1

新たなる争い 1 (小説 輝石物語)

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その昔遥かなる昔、生まれて幾ばくも経たぬ大地は二つの大いなる力による争いの末に創世時のような混沌へと帰していた。流れ続ける悠久なる時は、またも気まぐれを起こし、未熟で未明なる大地を再び世界にと齎すこととなる。その幼き大地にも、人々と従順な小動物達と溢れるばかりの緑が湧き出し、恐る恐るに緩慢に蔓延を始めていた。かつて神と呼ばれた創造の七賢人は既にこの世界から去っており、一人残されていた名も無き伝説の...

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新たなる争い 2 (小説 輝石物語)

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「俺様の剣はどこだ?鎧は?それに此処は何処でいつの時代だ?答えがなきゃルナン、てめぇの首をひっこぬくぞ!!」カーロンは一気にまくし立てた。「まあ落ち着けよカル、主のカラッポの頭でもわかるように順番に説明するからの」怒れる戦士を目の前にしながら、小柄な少女は怯えることもなくしれっと応えた。「そもそも、わしの首など引き抜いても無駄な事は百も承知じゃろ?」「マイスィート・カルよ」怒りに燃えるカーロンを見...

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新たなる争い 3 (小説 輝石物語)

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ー 500年前 大陸北西部 ユグドラス高原 ー「いかん!カーロン!布陣が崩れ始めおった!」「ちっ!!またあの小僧か!?」紫の魔女の声に終わりなき狂戦士が舌打ちをした。長引く戦闘の中、押し寄せる小柄で醜いドヴェルグの群れは長い腕をかざし、手にした斧や十字鍬をやみくもに振り回しながら味方の軍列を突き崩していた。「このぉ!チビどもがあ!!」最前にいた狂戦士は、鬱陶しく立ちはだかる小柄な軍勢を一閃し踵を返す...

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新たなる争い 4 (小説 輝石物語)

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襲いかかる無数の白い影を、紫の軌跡を残しながら赤い閃光が切り払ってゆく。斬撃と怒号の中、無限とも思われた白い影は次々と大地に崩れ落ち次第にその数を減らしていった。激しい攻防の合間にゆらりと姿を現す戦士の赤い影は、心なしか肩で息をし苦しげな表情に見て取れた。「あと二、三日は持つとは思うていたのじゃが、もうそろそろ潮時かのお…」紫の魔少女のつぶやきに、不安げに若き指導者がその顔を見つめた。不意に辺りが...

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新たなる争い 5 (小説 輝石物語)

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「カル、まずは城下にでもゆこうかの」少女が傍らの農夫にそう述べた。「今更、城なんかに出向いてどうするんだルナン?」農夫の答えは気が向かないものであった。「王に謁見するのじゃよ」「でもよ、あの小僧はとっくに死んじまってるんだろ?」「ああそうとも、今は十八代目聖女王ポリテラーナが統治しておる」「おんな?女王なのか?おんなが国を治めてるのか?」「ああ、主もよく知ってる男が後ろ盾でな」それだけ答えると少女...

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新たなる争い 5 (小説 輝石物語)

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夜に包まれたこの時間鍵もかかってない扉を開けると、そこだけは表とは違う破廉恥な騒ぎに満ちていた。「なかなか、いい店じゃあねえか」酔いどれの男たちに女たちがまとわりついている。今夜の寝床でも探そうとでもゆうのか、しきりに酒を勧めおだて上げていた。「ノーマンはあそこじゃ」少女の顎が指ししめた奥の方に、店の盛況さに笑みが止まらないとばかりの笑顔の親父が忙しげに動き回ってる。テーブルの酔いつぶれた大男をつ...

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新たなる争い 6 (小説 輝石物語)

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翌朝、酒場の片隅でカーロンが早めの朝食をとっていると少女が現れた。「相変わらず早起きじゃの」隣の席に当然のように着いた少女が告げる。「不死の戦士は不眠症なのさ」珍しく機嫌が良い返事が返ってきた。「それにしても、よくも朝早くからそんなにも食べれるものじゃ」「小鳥とは胃袋のできが違うからな、戦士は食えるときに食っとかねえと」少女の言葉を戦士は気にすることもなく、骨付き肉にかぶりついた品のない姿のまま答...

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新たなる争い 7 (小説 輝石物語)

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一団が音もなく立ち去ったあと、業を煮やしていた戦士がまくし立て始めた。「何なんだ、あの連中は。この俺様を差し置いて」「まあ云うな、主はこの国では所詮新参者。しかし今一度、主がその力を示せばまた多くのものが主のことを記憶に刻むことじゃろうて、血塗られた狂戦士カーロンの名をな」「力を示してもいいのか?宮中で」「この国の女王は勝気で男勝りじゃからな、主のことを試すじゃろうて」「ちったあ楽しみになってきた...

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新たなる争い 8 (小説 輝石物語)

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一行は案内の者に手招かれ、謁見の広間にとはいる。重臣たちが立ち並ぶ間を通り一段高い壇上の前まで招かれた。「なんだ?こいつらは…」小さな失笑が脇の方から漏れ聞こえる。しかしそれは、突然鳴り響いたファンファーレによってかき消された。少女とアサシンがひれ伏す中、狂戦士ただひとりだけが先ほどの失笑の相手を睨みつけていた。「これカーロン、主も跪け」少女が戦士に囁く。「構いませぬよ、魔女様」重厚な調べが消えた...

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新たなる争い 9 (小説 輝石物語)

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高い壁に囲まれたちょっとした広場に、十数人の兵士らしき若者が集まっていた。その中にニヤついたソレルと呼ばれた男も混じっている。説明を受け手合い用の模擬刀の束からそれぞれが選び出す。退屈そうにカーロンは中でも一番小ぶりな剣を手にしていた。「始め」手合いを仕切るらしき男の声が上がる。向かいあった若者がおずおずと頭を下げる姿に、カーロンは欠伸をしながら眺めてるばかりだった。「礼をしないか」再び声が上がる...

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