それぞれの輝石 1

「所詮ボクには無理なんだ、英雄と呼ばれた父様のようになるには」今朝も組手の練習でアザだらけになった少年は、部屋にもどるなり倒れこんだまま泣き言をあげた。「ポル様…そんなことでは乱世の覇者にはなれませぬぞ」庭で組手の相手をしていた衛兵の一人を宿舎へと下がらせたあと、痩身の黒衣の司祭が戒めた。「別にかまやしないさ、ボクには父様の血が流れてないんだ、優しかった母様の血ばかりで」ますますいじけたように少年...

 21, 2014   0

それぞれの輝石 2

「いいからオヤジ、酒を持って来い!」薄汚れた戦士風の男が騒ぐ。「旦那、勘弁してくださいよ。いくら用心棒とはいえ、その旦那のために売り物がなくなっちまったら元も子もありませんぜ」酒場の店主が呆れ声で応えた。実に人とは都合のいいもので、店での諍いを収めるため雇った男を諍いがなくなれば厄介者にする始末。もっとも、雇った男があまりにも強すぎてここいらの街道筋でも評判になってしまったことや、用心棒代がわりの...

 22, 2014   0