Category: 気まぐれ短編集 ブラックブック  1/1

つかれ

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「かちょう、つかれてますね」その声にますます俺の苛立ちがました。「大木君そんなことよりラインの管理を徹底したまえ」二ヶ月ほど前、異例の抜擢で課長に就任した俺は、相変わらずの生産性の低さに苦労していた。特に先ほど間延びした声で話しかけたラインの長(この男は俺より随分先輩なのだが)の、そのマイペースさと何を考えているかわからない顔つきに我慢できなくなっていた。「部長、なんとかなりませんか?大木のやつ」...

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疑問 (気まぐれ短編集 ブラックブック)

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誰もが知っているほど、実にものぐさな僕なのだが、親類への挨拶回りは割とマメに行っている。マメと言えば語弊になるのかもしれない。まあ、盆暮れとゆうことだ。仕事の関係で暮れにはなかなか行けず、年を越しての挨拶となることが多いのだが。新年の場合は例年子供らを連れ、お年玉集めも兼ねての挨拶となるのだが、今年は就職し一人暮らしを始めた娘は嫌がり、部活動で忙しい息子にもふられた。仕方なくバイト先も変わり年末年...

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妄想の彼方にて  (珍妙なるペンネームの訳)

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とかく幼い頃からボクは他人から影響を受けやすいタチであった。自身の両親を他人と評するのは甚だ失敬なことかもしれないが、自身以外の人々を他人と仮定することは、そう乱暴な話ではないだろう。とにかくその両親の言葉を間に受け、少年だった頃のボクは、実にいい子だった記憶が残っている。勉学にはそれなりに励み、その頃は気づいてもいなかった自身の運動能力の欠落にもできないなりに立ち向かっていた気がする。悪い友人か...

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美女と狂獣 (改訂 改題版)

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その小国の王は病んでいた。生まれついた時から、周りをぐるりと取り囲んだ大国の重圧に苛まれることにより。王には何年も前に先立たれた王妃との間に美しい姫がいた。国内外で評判の美しい娘だった。ある大国は姫を貰い受けるために攻め入ると声をあげ、別な大国は姫さえ差し出せば国には手を出さぬと内通をしてきた。小心者の王は、どれもが信用できず更なる不安の元となった姫を、その病みたる心から日々拷問し、いっそのこと亡...

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メールストーリーズ

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1.あの人からのメールデートの誘いでも いつも何するわけでもなくて いつも身体を求められるばかりで拒めなくて断れなくて いつもそればかりでただのはけ口でしかないのかもしれない都合の良い女と思われてるのかもしれない そんなの寂しすぎて 哀しすぎて 嫌すぎてけれど、怖くて…孤独に戻るのが怖くて…懸命に思い込んで愛されてるからと思い込んで思い込んで 思い込んでだから 返信してしまうあの人に今夜も抱かれるた...

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えっちな彼

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<えっちな彼>彼ったら本当にえっちなんです。こうして私が家に戻って日記をブログにあげてるあいだにも、何度も携帯にメールを入れてきて。今日のショーツはどんなの?僕好みの派手なやつ?とか、恥ずかしいことばかり聞いてくるんです。写メで送ってよとかメールがくるから、私もちょっと恥ずかしいけど今日は普通に白だけどって。それで、少しだけ股を広げて写メを送ったりするんです。彼ったら、ブログではいつも寂しげで孤独...

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やっぱりえっちだった彼 (気まぐれ短編集 ブラックブック)

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彼ったらやっぱり凄くえっちなんです。私のところには仕事が忙しいからといったメールだけよこしてあとは放置なのに、彼が書いてるブログには、なんか思う人が居るみたいな言葉とか、昔付き合っていた人の思い出のお話とかえっちな言葉に溢れててそんなんばっかり。私、彼がすっごくえっちなの知ってるからそうゆうの気になっちゃって気になっちゃって。私も仕事が忙しくなっちゃったせいもあって、彼宛のメールとかもあんまりでき...

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分岐点

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ある生き物が声高らかに言い放つ。「我々は数にまさり強大な力を手にし世界の頂点に達したのだ。我々は万能だ。いや、全能と言える。もはや神などの助けを必要としないのだ」その驕りとも言える言葉が響きわたると、それまでどおり慈悲深い神は願いを叶えた。かつて、弱きその生き物を楽園にて保護し、無謀なる彼らの望みを受け入れ野に放ち、他の強き生き物に蹂躙された彼らに知恵をさずけた神は、その慈悲ぶかさ故、此度も願いを...

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