世界の綻び

密会の朝。ボクの世界は壊れ始める。家を出て駅へと向かう僅かな間、理恵宛にメールを送るその時からだ。壊れると言っても、ネット上で作り上げたボクの世界は嘘だらけなのだが。公開しているはずのボクの素顔は全くのデタラメで、日々愚痴るうちの奴の存在どころか、溺愛していると呟く娘やゲームに明け暮れるばかりの息子などは、一度も結婚などしていないボクにはあるはずもないものだ。ネットの褪めた世界で、あちこちに書き散...

 30, 2014   0

奴隷誓約書

「初めまして理恵です。貴方が和磨さん?でしたらこれを収めていただけますか?」理恵の最初の挨拶はそんな感じだったと思う。今でも待ち合わせで時々使う、桜木町駅前のビル二階にあるカフェのボックス席でのことだ。「これは?」ボクはそうこたえて大きめの角封筒を受け取った。「サイトのメールでお話した、奴隷誓約書です。印鑑も押して印鑑証明も同封してあります」理恵と知り合ったその手のサイトの中で、何度かのやりとりの...

 04, 2014   0

変わりない始まり

「和磨様、お腹はすいてはないですか?少し歩きますけどランチの予約をとってあるのですけど、イタリアンなのでお口にあうか…」理恵が心配そうにこう切り出した。「もうそんな時間か、別になんでもかまやしないけど」ボクは携帯の時間をちらりとみてそう応える。とりあえずカフェでの支払いを済ませ、二階にある店を出てビルの階段を降り通りにと向かう。理恵のあとについて少し歩くと駅入口と書かれた広い交差点にとついた。「ま...

 06, 2014   0

好みのスタイル

ランチを済ませ大岡川を再び渡ると予約を入れたとゆうホテルだった。「なんださっきのカフェのとこじゃないか、別にそのままこっちでもオレは良かったぜ」面倒事が嫌いなボクは思わずそう言った。「すいません、それではあまりにと思いましたので…和磨様がお望みでしたらそういたします」「まあいいけどよ、ホテルの食事じゃ知れてるからな、それと…」さすがにロビーでは声を落として応えたのだけど。エレベーターで登って部屋に入...

 06, 2014   0

道具の役目

多分この辺りからボクは壊れ始めていたのかもしれない。特に物に執着などしなかったはずのボクは、理恵との時間、理恵との捻れた世界に囚われ始めていた。「一度しか言わないからよく聞けよ」弄ぶことに飽きたボクは、椅子に座り直して尊大に言い放つ。「はい」上気したままの顔で畏まった理恵が見つめながら答えてくる。「いい感じだ、返事はひとつ、はいがいいな、オマエは恋人でも何でもないタダの所有物だから今後二人きりのこ...

 07, 2014   0

お気に入り

その日の改札での待ち合わせは、少し違っていた。たまには目先でも変えてもらおうかとメールで支持してあった理恵の様相は、予想以上のものだった。いつもながらの地味な服装とは一転した短めの際どいスーツ姿は新鮮だった。指示通りの派手なメイク、ただ束ねていただけの髪をおろしたその姿に珍しく欲情を感じる。「どうですか?変ではないですか?」普段なら控えめ気味な表情も、メイクの加減か色気をましている。気紛れにたまに...

 08, 2014   0

普通の逢引  (小説 荒廃)

慣れないスーツが居心地悪く、クローゼットの奥からやっとの思いで探し出したネクタイも息苦しい。気紛れに普通のデートなどと提案したことを悔やみながら、張り付いたままの理恵をともなってランチの予約の場所に向かう。よほど嬉しかったのかご満悦で言葉の少なめな理恵に返事の必要がなくて楽だなと思いながら試しに肩など抱いてみた。ますますしがみつく重みに、たまにはいいかと通りを歩き続ける。そういえばこんな感じなど久...

 13, 2014   0

買い物 (小説 荒廃)

ランチを済ませたあと、店を出てぷらぷらと歩き出す。特に店屋もない16号沿いを下ってゆく。目当ての店をめざしてどこの角だったかを見回しながら歩き続ける。「何処までゆかれるのですか?」「ちょっと寄りたい店があるから、お前とな」寄り添ったままの理恵はご機嫌で、多少の道のりもただ広いだけの通りの景色も関係ないようだった。向かいに大きな郵便局が見えてきた。「もう少し先か?地下鉄の方が良かったかな?」「構いま...

 15, 2014   0

ラブホテル (小説 荒廃)

その日二人で向かったのはいつものホテルではなく、ショップの近くのラブホテルだった。休憩は三時間と短めなものだったが、デートの一部と考えればそんなものだろう。部屋に入り早々に風呂に入ることにする。いつものように手早く裸になった理恵に、ボク自身の服を脱がさせる。ズボンを下ろさせることはあっても全部を脱がさせることなどなかったのだが。先ずは風呂場でと考えていたボクは、すぐにも奉仕しようとした理恵を押しと...

 16, 2014   0

密かな願い (小説 荒廃)

風呂からあがりベッドに向かう。寒がりのボクはタオルを纏っているが、理恵はいつものように裸のままだ。「取り敢えず身動きできないようにするからな」「はい、お願いします」がさがさと先ほどのショップで買い込んだものを取り出す様子を、期待混じりにドキドキした顔でまつ理恵。ボクは先ず四肢を拘束するベルト付きのカフスを取り出した。これは長さを調整できるベルトがそれぞれのカフスに取り付けられるものだ。手枷足枷にベ...

 18, 2014   0