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「其方は叔母である桐窪…アカリの事を知っておるか?」
目の前の見知った優し気な男が予想通りの問いをかけてきた。

「私は三つほど年上である従兄様と違い叔母様を覚えてはおりません。兄様がおっしゃるには儚げで少女のようで…透きとおるほどに美しいお方だったと」
俺は、はいと用意していた言葉をミカドを名乗るその男に告げた。
俺の今の見せかけに相応しい幼くか細い澄んだ声で。

「愛だけに生き…その愛だけを支えに短い命を終えたと聞いております」


「………わかった。それと同じものを其方に与えよう。本日より其方は桐窪の舎に住むと良い」
父でもある目の前の優柔不断な男は、俺の言葉を深く吟味し、暫しの沈黙のあとこう応えた。この男にしては早い決断だ。当時の母を少しばかり幼くした俺の今の容姿が気に入ったのだろうか。聞きしにまさる執着ぶりだ。

先ほどの言葉により、目の前の周りに従うだけの情けない男が、俺の真なる幻視の貴力の術中にはまっていることを確信した。幻視ばかりでなく幻聴などの全ての感覚を自由に他人に引き起こす強力な力で。


俺はヒカル、周りに丸め込まれ母を見捨てた目の前の男や貴人ばかりを尊重する世の習わしに復讐を誓う男だ。


「帝様、感謝の言葉もありませぬ。これで今回の御身合わせを思い立った兄ヒカルも大いに慶ぶことでありましょう」
ここでさりげなく俺自身の本当の顔について口に出してみる。この仮初の姿での寵愛を勝ち取ることは望めそうだが、俺自身についても何らかの利があればと思い立ったからだ。

「うむ、…其方を私に引き合わせた手柄も踏まえ我が子ヒカルには特別に相応の性を与える事としよう。成人の儀の後は、あの者の幻視の貴力に相応しい幻氏と」

「まあ、なんて畏れ多き褒美で」
そう口にしながら俺は、心の内で舌打ちをしていた。自らの子と認めつつ皇子とはせず臣下に収めようとするこの気弱な男に対して。

皇后や親王、側近の目などを気にしての事なのか、男の目つきが語る自らの邪な性の欲に関しては先ほどのように押し通すのに。

それでもとりあえず俺の貴力によりこの男を誑かすことを成し遂げたのだ。
俺はこれからこの力を多岐に使い、更に多くを騙り騙し狂わせ壊しゆくつもりだ。
かけがえなき母を永久に奪いさった貴人どもや奴らが全てを支配するこの世の習わしまでもを。


いや、…この世そのものまでもを。




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あれはまだ私が十一になる少し前の頃であろうか…先帝が崩御なされ若き親王であった私が帝となり妃との間に姫も授かたばかりであったが…自らをいつももてあましていた
産後の妃は身体を休める為と申して 一切私を寄せ付けず 若さを持て余す私は そのはけ口を求めてばかりいた もの視が申すところ私の貴力は子孫繁栄であり 普通ならば齢七十まで寿命があり その寿命の続くぶんだけ 子種を吐き続けることが可能とのこと その中のひとりで当時偶然に出会った 下級貴姫を見初め 桐窪に住まわせたのだが…



生前母さまは時折、顔も知れぬ俺の父とやらの事を話してくれた。
とにかく麗しくお優しいお方だったと。
自分とは違い遥かに貴きお方だったと。
俺にはそのお優しかったはずの父とやらが、幼き頃の俺からみてもこんなにも愛くるしい母さまを手放したのか疑問だった。勿論母さまがその訳を語ることもなかったのだったが。

「…ヒカル様何を…」目の前の幼き女人が問う。
「いや、少しばかり昔を思い出していたところだ。それよりも喜べ、お前の御所入りが決まりそうだぞ。まだ女にもなってないお前相手ならば閨事などの心配も無用だろうが、正式な告げがあるまでは間がある。それまでにはいくらか教えを説くことにしよう」
「学無きゆえによくわかりませんが、父や家族にご恩がある身、あなた様の命には従うつもりです。永劫に」
俺の言葉に童ともいえる女人がはっきりと応えをかえす。
「そうだな先ずは俺の力でお前を別の姿にみせかけるから、それに早く慣れてふるまえるように。多分お前は御所内では桐窪の姫と呼ばれ帝の寵愛をうけることとなろう。その際の受け答えなどは陰ながらも俺からしじしたりするからそのつもりで」
「いかなることもお任せを」
「その意気だ」心からなのか俺の貴力のせいなのか気にもせず、俺は力強い返事に満足げに頷いた。

十日ほど過ぎたころだろうか。俺には元服の日取りが、女人には桐窪入りの日取りが告げられた。重なることがなかったことには安どしたが、大方あの男が御所入り後の女人との逢瀬を割かれることに危惧したのだろう。つくづく女好きな男だ。それにしてもそのことは俺にとって都合が良い。女人と男の仲を進め男が溺れゆくよう俺から直接仕向けることができるからだった。その日まではあと少し女人を色々としつけなければ、なぜならば女人は貴人でも貴家にゆかりある者でもなく、単なる下々のあきないびとの子であるから。俺の貴力で見せかけを変えるのもそんな事情からのものなのだが。





「桐窪よ、其方と色々と話をし楽しき時を過ごせたが、夜はこれからそして長いものだ…」

『ヒカル様これはどのような意味で?どう答えればよろしいですか?』
桐窪の耳を通して男の声が聞こえそして心の内の声までもが俺に届く。

『簡単に言えば今夜はここに泊まるとゆう事だ。(お心のままに、今宵はお好きになさってくださいませ。桐窪の身も心もお上のものなのですから)と答えておけ』
俺は桐窪の心の声にそう返す。

「お上のお心のままに…そして今宵からはこの桐窪をお好きになさって下さいませ。この身も心も全てお上のものなのですから」
その答えを聞いて今までの教えが身になっているなと感心をした。

「うむ…しかし其方は私の物であるが…童のような其方に閨事などは…早すぎると…」
男の言葉を耳にした俺は、やはりなと思いつつもこの際、始めにこの男を虜にする為に更なる貴力を男にかけることとした。

『桐窪、今から双方に貴力をかける。お前は何も心配せずに(かまいませぬ)と応えておけ』


「…私はお上だけのもの、何も構うことなどありませぬから…ただしお優しくお願いいたします」
桐窪の声に男が身を乗り出し覆いかぶさる様子がうかがえた。

「お上、私は逃げたりしませんわ。慌てずに…優しく脱がして下さいませ…」
桐窪の言葉にもめげずに、覆いかぶさった男が荒々しく衣をはぎ取り幼き裸体を力を込めて抱きしめらるのを俺は視ていた。
戸惑ってはいるが貴力の術のせいか恐れてはいない心うちが読み取れる。

『そのまま身を任せるのだ。俺自身にされているのだと思い込め』
『はい、ヒカル様』
『顔を見つめたら目を閉じよ、そして口を薄く開けば舌をもってお前の口と身体全てを愛す』
俺は桐窪に更なる術をかけ本当に俺に抱かれているかのように惑わしてゆく。

同じくして男に欲望の赴くまま桐窪を貪るようにと暗示をかけ続ける。

唇をうなじを幼い胸を貪り舐めつくし吸い上げるのだと。


「っあっ、ああぅ」
深く艶めかしい口づけの後うなじを這いまわり胸の頂を吸い上げ始めた時に、桐窪の喘ぎが高まる。

「あ、あっ…貴方様…身体がなぜか熱うございます」
気分と感じたことを伝えるように指示すると桐窪がそんな言葉を口にする。

「いやなのか?」
「いやではございませぬ、ただ身体が熱くて…とくに下のあそこがほてるようで…何かほてりがほてるようで…」
「そうなのか…確かめてみよう。脚の力を抜き股を広げて見せよ」
「…恥ずかしゅうございます…全てをさらけだしているさまが…」
「どれどれ…確かに熱くぬめるものが溢れ出始めてるようだな」
「あっ、お指が汚れます…それにそのお指の汚れをかがれるのは………」
「気にするでない、香しい匂いだ。では味を確かめてみようぞ」
「ぁぁあああ…そのような事をされてはますます熱く溢れ出す気が…吸い上げるのだけは…」
「もう我慢ならぬ、ゆくゆくは其方に子を授けるだろう私のものを硬さと大きさだけでも味わうがよい」
「あああぁ…とても熱いですそして硬い…どうにかなってしまいます…でも…おやめにならないで…もっと押しつけて…こすり上げて…もっと…」

足の付け根に押し付けられた男のものの動きが激しくなり最後には桐窪の腹の上に果てることとなったようだ。

『子種を指ですくいあげ奇麗に舐め尽くせ。そして咥えて残さず吸い尽くすのだ』

幼き桐窪の行為に驚く男が言葉を漏らす。
「其方なにゆえそのような事を…」
「幼きゆえに子を授かることもできぬ身であります。あなた様のため、より早く女になれるよう貴方様により早く馴染むよう思いしている事でございます」
「ならばその望み叶えるため深く飲み込むのだ吸い上げ舌や喉を使いしごき続けるのだ」

どうやら桐窪は俺の指示無くしても、うまくやっていけそうだ。取り合ず謀が一つ順調に乗り出したことに俺は安心し自分の館に戻ることにした。

なによりやらねばならぬ事はこれだけではないのだから。



「五位の示表か…閑職のうえ低い官位とは、よほど疎まれているのか?あの男に…いや右大臣一派に…」成人の儀の折りに与えられた職と官位に呆れたようにつぶやく俺。

『幻視の貴力は見せるだけのものなのだから、役職としては神祇官を補佐するだけの示表所で間違いはないが辛うじて貴家と呼ばれるだけの五位とはね』
儀礼の式の間、思わず漏れ出る心の内の苦笑を歓びの笑顔とみせる事に俺は費やすだけだった。






「幻氏の君、娘の弥生だ。こたび我が婿の一人となった上にはくれぐれも臣下としての道を勤めを全うするように」
「心しております右大臣様…そして弥生の上」
「………」
右大臣の言葉に俺は応えたが、姫からの返事はなかった。

ほかならぬ敵側の右大臣が以外にも俺の後見に立ち側室の姫とは言え婿の立場になったことには驚いた。
『それにしても気の強そうな女人だな。さていかように篭絡したものか』ひとの挨拶に返事も返さず横を向いたままのこの年上らしき女人に早々に躾を付けようと俺は考え始めた。






館にと帰り傍使いの者たちを遠ざけたのちに、向かい入れた妻の元にと向かう。

「弥生の上、お話が…」
「何をなさるのです乱暴な。やはり卑しき者のようですね。誰か!誰か!」
俺が乱暴に御簾をあげ押し入り声をかけると、弥生がいきなり叫び出した。

「誰も来はしませんよ、それに妻に逢うのに何の不都合が…」
「………!!」
「そうそう言い忘れましたが、あなたのその下賤な大声はふさがしてもらいました。まあ、これから妻に躾を施すときに、人が来て恥をかくのは貴方ですがね」
声が出ないことに放心して震える女を蔑むように見つめ言葉をつぐむ。

「さあ夜は長いものです。じっくりと躾てさしあげましょう」
そう続ける俺の手には、禅寺で使う警策に似た棒が握りしめられていた。


「まずはじめに躾が欲しいのはこの口か?」
女の髪をつかみ上げ口元を平たい警策でつついてみる。

「!………」
『ひっ!だれかっ、だれかっ』
言葉を封じていても貴力の力で女の心の声はまるわかりだ。

「!!…!………」
『ぎっ!ぎっ!…!………』
軽くではあるが腫れあがるほど何度も口元を打ち据えると、気でも遠くなったのかしまいには心の悲鳴もしずまるほど大人しくなってゆく。

そして匂い立つ香りから、女が痛みと恐怖で粗相もした事に気づく。
それはひとまず、俺は躾とゆうなの罰を続ける。

「どうした?返事もできないのか?」
髪をつかんだままゆすりあげ、にらみつける。
『…どうが…おゆるじを…どうが…』
気を取り戻したのか心の内も聞こえ始める。

「聞こえないなあ、何でも素直に受け入れると誓わないか!さもなくば…」
「びっ!ぞんな!ごむだいな!ごえがでないのでございまず」
棒を振り上げると悲鳴と言い訳が心うちより響く。

「誓うのだ!早く!全て受け入れると!!」
「!…、…、…、…、ずべでうげいれまず!!」
『!ぢかいまず、ぢかいまず、ずべでうげいれまず、ずべでうげいれまず、ずべでうげいれまず!!…」
突然取り戻した自分の声に驚き女がだまる。貴力の力を消し声をあげるのを許したからだったのだ。


「誓ったうえは俺の行為を全て受け入れ、返事は「はい」とだけ告げよ。………では改めて躾を続ける事とする!」

「ぞっ、ぞんな!ぐぇっ!!」
躾の足らない口をふさぐため棒で叩くと悲鳴が上がる。

「返事はどうした?」
「びっ、びぃい、……ばい」
更に叩く素振りにようやく返事が聞けた。


「何の騒ぎでありますか?殿」
女の声に傍使いの者たちが集まってきたようだ。

「何、夫婦の営みの一つだ。これが粗相した罰に躾を行う。これを抑えつけ衣をまくり股を開かせろ」
「畏まりました」
数人がかりで仰向けに抑えつけさせたあと、穢れで濡れる秘所を顕にさせる。

「躾しやすく脚をもっと開き上げのだ」
「はっ!」
実に忠義なそば仕えたちのおかげで女のそれは丸見えとなった。

「生い茂り色濃い其方のこれは実に品がないな。匂いも酷く罰を与えねば!」

「ぎっ!いだい!いだい!ぎっ!ぐっ!っ!ぐっ………」

「また返事を忘れているな!返事ができるまでいつまでも躾けるぞ」

辱めを受け痛みに泣き叫ぶだけの女に返事ができるわけでもなく、女が気を失うまそれは続いた。

「ご苦労であったな、其方たちの手をいつまでも煩わせることもないゆえ、明日からは縄を用意するがよい。…それと水桶を」

そば仕えが水桶を用意し控えた後、女の頭から水をかけ気を呼び戻す。
ついでに穢れた秘所にも水をかけ洗い流す。
朦朧としたままの女は何をされてももうあらがう事もできないようだ。

「少しばかり冷たいが…直ぐに温まるだろう」
俺はそう云い放ち腫れあがった秘所にと昂りそそり立ったものをねじ込んだ。


夜は長く、腫れあがったものを無理に貫かれ続ける痛みに泣き叫ぶ女の悲鳴が館に絶えることはなかった。





館の主人であるヒカル様に出会って一年余りとなる。出会った時にはただの貴人の童であったが元服をなされた今、官位こそ低くも殿上人となり政敵であるはずの右大臣の娘を妻に迎えその生まれ持つ定めの大きさを改めて感じる。始めの目利きでは、珍しい力を持つ童だなと思った程度なのだが…。その頃の私は世の無常をはかなみ俗世を捨てたつもりで都から離れた山寺で欲にまみれた怠惰な日々を送っていた。




「うぅん………!少し、待ってはくれぬか?阿よ」
「突然、なにごとでありますか法師様」
「良いところなのはお互い様だ。どうやら客らしい。とにかくいったん交わりを抜いて何かをはおって追い返してもらえぬか?視線が気になって集中できないのだよ」
「はあ…わかり申した。良くはわからんですがそうします」

情夫でもある弟子の阿が脱ぎ捨てた衣を使い本堂の扉を開ける気配を感じたあと、聞き耳を立てることとした。


「…やはり男色か…」
「我が名はヒカル。此処に稀なる法力を示す高僧がおられると聞いた。どうか高僧是空°のとの対面を願いたい」
はじめの呟きはともかく、そのあとの名のりからは、聞き耳の術を使うまでもなく寝所代わりの本堂奥まで素の耳で聴きとることができた。

「この餓鬼、今、法師様はいそがしいんだよ。話を聞くのは昼過ぎからと決めてある。戯言はやめて帰んな、シセンとやらが気になるんだと」

どうやら客人は年若い童の様だ。野太い阿の恫喝を聞きながら私はそう思い床の酒の残りをあおった。

「失礼をいたした。…ならば目を閉じ気配を消し事が終わるまで待つゆえ、そうお伝えもらいたい」
「わからねえ餓鬼だな、いいから帰れって。でないと力ずくで叩き出すぞ」
「そこをなんとか」
「帰らねえか!さっきのは嘘じゃねぞ」
押し問答が続く。元々山賊であった無頼な阿でも、相手が童であることに戸惑っているのだろう。

童の言葉が気になった私は法衣を雑に纏い会って話を聞くことにした。

「もう良い、阿よ」
「法師様…」
「興が覚めたのじゃ。若き貴人の童の話も一興じゃ」
「…お忙しい所、申し訳なく。ヒカルと申す若輩ものでございます。改めて是空どのにお話が」
「まあ、上がってくだされ」
いつものように客人むけに老僧の姿となり、
俗世を離れたものらしく童の言葉に応えてみる。

「散らかっておりますが、適当に腰を下ろしてくだされ、話はそれからで」
崩れかけの本堂のなかは、どこもかしこも床が抜け落ちており、まともに座れるのは寝床ぐらいのものだったので構わずそこにと導いてみた。

「何を戸惑っておられる。わしの見た目の事かの?それとも先ほどまでの情交が気になるのかの?」
「いや…では失礼いたします」
佇んだまま座ろうとしない童にかまをかけて誘ってみる。

「で、わしに話とは………、くっくっ」
ここまで語っておいて私は、笑いをこらえることができなくなっていた。

「いやあすまない、私が見せかけの姿でないことぐらい君にもわかっているのだろう。同じく私も君がただの童とも思えない。改めて話を聞きたい。真なるものを知るどおし本音で語り合おうじゃないか」

「では遠慮なく…私は…俺は貴方を配下に望んでいる。どうかこの願い聞き届けてはくれぬだろうか」
老僧の姿を解いた私に、口調を変えて童が語り出した。

「見ての通りの欲にまみれた私を?」
だらしなく着崩した法衣姿で平気で酒をあおる私に淀むことなく童の話が続く。

「誰もが何かしらの業を抱えていると俺は思っている…こんなことを言う私の望みも崇高なものなんかじゃない。たとえ貴方が欲に溺れた破戒僧であったとしても、聞き及ぶその力は惜しいものだ。どうか俺の配下となり力を貸して欲しい」そう言って童が頭を下げる。

「貴人様が頭を下げてまで叶えたい望みとは?」

「この世を変えたい、一部の力あるものが支配するこの世を俺は変えたいのだ。直ぐに叶うとは俺も思ってはいないが、貴方のような力を持つ者たちを集い束ねることができればいつか叶うと思っている。そのことは俺の復讐にもつながっている…」

私はその言葉に引かれてしまった。

崇高な理想ではなく私怨を交えての本音の言葉に。

暫く考えたのち私は応える。
「ちょうど世捨て人の暮らしも飽きたところです。再び都の香りを楽しむのも一興でしょう。承知しました共に歩みましょうその大きすぎる夢のために」

「感謝する貴方様の力があれば俺の夢も現にと変われる」

「是空でよいですよ、ヒカル殿。いや、ヒカル様」再び頭を下げた童に私はそう告げた。

こうして私は若き主人を得た。
そしてその幼いとも思える若さについては、何も不安がなかった。

何故ならば大義を成し遂げるのに齢の少なさなど関係ないと、私自身の経験を持って確信していたからだった。



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